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引っ越し「火災保険」の見直し・切り替え|賃貸・持ち家別の手続きガイド

「引っ越しは決まったけど、今入っている火災保険ってどうすればいいの?」
「賃貸から賃貸への引っ越しだけど、新しい保険に二重で入ってしまったら損?」

新生活への期待でいっぱいの引っ越しシーズン。しかし、荷造りやライフラインの手続きに追われる中で、火災保険の手続きは後回しになりがちです。
保険会社への単なる「住所変更」で済むのか、それとも「解約」や「新規契約」が必要なのか、その判断は賃貸なのか持ち家なのか、そして新居の構造によって複雑に変わります。

適切な手続きを怠ると、最悪の場合、肝心な時に補償が受けられない「無保険状態」に陥ったり、逆に不要な保険料を払い続ける「二重払い」になったりするリスクがあります。特に、火災保険には「家財保険」「借家人賠償責任保険」「建物保険」など、引っ越しで補償額や必要性が大きく変わる要素が多数含まれています。

✅ この記事を読むと得られる3つの確実な成果

  • 【手続きの最適化】賃貸(家財保険・借家人賠償)と持ち家(建物・家財)それぞれのケースで、「継続」「解約」「新規」の最適な判断基準と、具体的な手続きの流れが明確になります。
  • 【無駄の排除】:引っ越しを機に、新居のリスクに合わせた保険料の見直し戦略(払いすぎ防止)が分かり、未経過保険料の返戻金についても理解できます。
  • 【リスク回避】:手続きの遅延による「無保険期間」や、解約忘れによる「二重払い」といった、引っ越し時の保険トラブルを完全に回避できます。

本記事は、**ソニー損保やチューリッヒなどの大手保険会社のガイドライン**と、**賃貸・持ち家の手続き実例**に基づき、あなたの引っ越し状況に合わせた最適解を導き出します。
もう、保険手続きに不安を感じる必要はありません。この記事を読み進め、新居での安心と、保険料の最適化を同時に手に入れましょう。

    1. ✅ この記事を読むと得られる3つの確実な成果
  1. 💡 引っ越しで火災保険が必須な理由と見直しが必要な根本原因
    1. 火災保険がカバーする3つの主要なリスク(建物・家財・賠償責任)
    2. なぜ住所変更だけでは不十分なのか?補償内容の見直しの重要性
      1. 1. 建物の構造・所在地によるリスクの変化
      2. 2. 家財の補償額の過不足
    3. 賃貸と持ち家で火災保険の役割と必須度がどう変わるか
      1. パターン①:賃貸 → 賃貸への引っ越し(最も一般的なケース)
      2. パターン②:賃貸 → 持ち家(購入)への引っ越し
      3. パターン③:持ち家 → 持ち家(売却・購入)への引っ越し
  2. 🏠 【賃貸編】引っ越し時の火災保険(家財保険)手続き完全ガイド
    1. 賃貸物件からの退去:火災保険の「解約」と「中断」の判断基準
      1. 解約手続きのメリットと注意点
      2. 長期契約の場合の例外:「住所変更」または「継続」が可能なケース
    2. 敷金返還に関わる「借家人賠償責任保険」の扱いの注意点
      1. 借家人賠償責任保険が終了するタイミング
      2. 「原状回復」と保険の関係
    3. 新しい賃貸物件での火災保険の加入方法と指定保険会社の落とし穴
      1. 不動産会社指定の保険のメリット・デメリット
      2. 保険会社の「指定」は義務ではない?自分で選ぶ基準
      3. 【重要】新居の補償開始日は「鍵の引渡し日」に合わせる
  3. 🏡 【持ち家編】売却・購入・建替えに伴う火災保険の手続き
    1. 旧居の売却時:火災保険の解約手続きと未経過保険料の返戻金について
      1. 建物保険の解約日と返戻金の正確な計算
      2. 家財保険の継続と住所変更手続き
    2. 新居購入時:補償開始日をどう設定するか(引渡し日と決済日)
      1. 補償開始日の鉄則:「引渡し日」を起点とする
      2. 新居の建物評価額と適切な補償額の設定
    3. 建替えやリフォーム時の「住所変更」と「補償額変更」の具体的な手続き
      1. 建替えの場合:既存契約の解約と新築契約の加入
      2. 大規模リフォームの場合:補償額変更(増額)の手続き
  4. ✍️ 状況別!火災保険の「継続・変更・解約」手続きの流れと必要書類
    1. 「継続(住所変更)」手続きのステップと必要な書類(新旧住所、構造など)
      1. 継続(住所変更)手続きの具体的なステップ
      2. 継続手続きに必要な主要書類と情報
    2. 「解約」手続きの連絡方法と、返戻金が発生する条件と計算方法
      1. 解約手続きの連絡方法と必須情報
      2. 未経過保険料の返戻金が発生する条件と計算方法の詳細
    3. 手続きのベストなタイミングはいつか?契約者情報の変更期限と期限を過ぎた場合の対処法
      1. 手続き開始のベストタイミング:引っ越しの1〜2ヶ月前
      2. 契約者情報の「通知義務」と変更手続きの期限
      3. 期限を過ぎた場合の対処法(無保険期間の解消)
  5. 💰 火災保険見直しで「払いすぎ」を防ぐ!補償内容の最適化戦略
    1. 家財保険の見直し:世帯人数や新居の間取りに合わせた適正額の算出方法
      1. 家財保険の適正額は「再調達価額」で考える
      2. 適正額算出の具体的な方法(簡易速算表の活用)
    2. 不要な特約の見極め方:地震保険、水災、風災などのリスク評価
      1. 1. 水災(水害)補償の必要性の見極め方
      2. 2. 地震保険の付帯と補償額の調整
      3. 3. その他の特約(個人賠償責任保険など)の重複回避
    3. 保険期間の選び方:短期・長期契約のメリットとデメリット(保険料と更新の手間)
      1. 長期契約(5年)の圧倒的なメリットと現在のトレンド
      2. 短期契約(1年)のデメリットとメリット
      3. 【賃貸の特例】2年契約と長期契約の比較
  6. ⚠️ 見落とし厳禁!火災保険手続きにおける3つの失敗とリスク対策
    1. 無保険状態のリスク:手続きの遅延で補償が途切れる期間の対策
      1. 失敗パターン:新旧契約の「空白期間」の発生
      2. リスク対策①:新旧契約の「補償開始・終了時刻」を厳密に調整する
      3. リスク対策②:引っ越し中の家財をカバーする特約の活用(運送期間特約)
    2. 二重払いの回避策:新旧契約の開始日・終了日の正確な調整方法
      1. 失敗パターン:契約期間の「重複」による無駄な保険料の支払い
      2. リスク対策①:新旧契約の「解約日」と「開始日」の同日設定
      3. リスク対策②:重複特約の解約(個人賠償責任保険の整理)
    3. 特約の自動継続による失敗:旧居の特約が新居で不要になるケース
      1. 失敗パターン:賃貸からマンション高層階へ引っ越す場合の「水災補償」
      2. リスク対策:新居の環境変化に基づく「特約の再評価と削除」
  7. 🏠 よくある質問(FAQ)
    1. Q. 引越しをしても、現在契約している火災保険の契約は継続できますか?
    2. Q. 引っ越し後も、家財(家具・家電など)の火災保険(家財保険)を引き続き継続することはできますか?
    3. Q. 賃貸物件で引っ越しをすると火災保険はどうなる?必要な手続きと注意点を解説
      1. 📌 賃貸で必須となる2つの手続き
      2. ⚠️ 最大の注意点:「無保険期間」と「二重払い」の回避
  8. 🔑 まとめ:あなたの引っ越しを「安心」と「節約」で完了させる3つの即時行動
    1. ✅ 記事内容に基づく「状況別」最適な手続きの最終確認
    2. 🎯 読者が取るべき「3つの即時行動」

💡 引っ越しで火災保険が必須な理由と見直しが必要な根本原因

引っ越し時の火災保険手続きが重要である理由は、単に「契約の住所が変わるから」という事務的な問題だけではありません。
火災保険は、災害時にあなたの財産と生活を守る「最後の砦」です。この章では、火災保険の基本的な仕組みと、なぜ引っ越しによってその補償内容の根本的な見直しが必要になるのかを、専門的な視点から深掘りします。

火災保険がカバーする3つの主要なリスク(建物・家財・賠償責任)

一般に「火災保険」と呼ばれますが、その補償範囲は火災だけにとどまらず、住まいと生活を取り巻く広範なリスクに対応しています。特に、引っ越し手続きで影響を受けるのは、主に以下の3つの要素です。

補償の要素 補償の対象 補償の具体例
① 建物(本体) 住宅の構造自体、設備(キッチン、風呂など) 火災、落雷、爆発などによる建物の損壊。持ち家のみ加入可能。
② 家財 家具、家電、衣類など、生活に必要な動産 火災、水漏れなどによるテレビ、ソファ、パソコンなどの損害。賃貸・持ち家とも加入可能。
③ 賠償責任 法律上の損害賠償責任(特約で付帯)
  • 借家人賠償責任(賃貸):自身の過失で借りた部屋を損壊させた場合の大家への賠償。
  • 個人賠償責任(共通):水漏れなどで隣家に損害を与えた場合の賠償。

引っ越しは、この3つの要素すべてに影響を与えます。特に、賃貸から持ち家へ、あるいはその逆のケースでは、上記表の①と③の役割が決定的に変わるため、単なる住所変更では済まないのです。

なぜ住所変更だけでは不十分なのか?補償内容の見直しの重要性

現在の契約を新居に「継続」する場合でも、単に保険会社に電話して新しい住所を伝えるだけでは、思わぬリスクが残る可能性があります。火災保険の保険料と補償内容は、「リスクの所在地」である建物と場所の特性に大きく依存するためです。

1. 建物の構造・所在地によるリスクの変化

火災保険料は、建物の「構造級別」によって大きく変動します。木造(H構造)、鉄骨(T構造)、コンクリート(M構造)など、建物の耐火性能が高くなるほど保険料は安くなります。

  • 旧居(木造) → 新居(マンション・鉄骨):構造級別が変わり、補償額を変えなくても保険料が安くなる可能性があります。
  • 旧居(マンション) → 新居(戸建て・木造):保険料が高くなる可能性があるほか、水災リスク(後述)の評価も変わります。

また、所在地が変わることで、水災リスク(洪水、土砂崩れなど)の評価も変わります。旧居では水災補償が不要だった地域でも、新居がハザードマップ上のリスクエリアにある場合、水災補償の付帯を検討する必要が出てきます。

2. 家財の補償額の過不足

家財保険は、あなたの持ち物全体をカバーするものです。結婚、出産、家電の買い替えなどで家財の総額が増えている場合、旧居で設定した補償額が新居では「過少」になっている可能性があります。逆に、荷物を減らした場合や、単身赴任などで家族構成が変わった場合は「過剰」になっているかもしれません。

【プロの視点】引っ越しは、家財の総額を棚卸しし、保険料を払いすぎないためにも、家財保険の評価額を適正化する絶好の機会です。

賃貸と持ち家で火災保険の役割と必須度がどう変わるか

引っ越しにおける火災保険の手続きが最も複雑になるのは、「賃貸」と「持ち家」という住まいの形態が変わる時です。それぞれの火災保険の役割を正確に理解しておくことが、適切な手続きの第一歩です。

パターン①:賃貸 → 賃貸への引っ越し(最も一般的なケース)

賃貸契約では、入居時に「借家人賠償責任保険」の加入が必須とされます。これは、失火などで大家さんの建物に損害を与えた場合に備えるものです。

  • 旧居の契約:旧居の契約は、退去日をもって原則「解約」が必要です。借家人賠償責任保険は、旧居を退去した瞬間に不要になるため、新居の契約とは別個に手続きを行います。
  • 新居の契約:新居の賃貸借契約書に基づき、新たに火災保険(家財保険+借家人賠償責任)に加入します。多くの場合、不動産会社や大家さんから保険会社を指定されますが、家財保険部分は自分で選べるケースも多いため、必ず確認しましょう。

パターン②:賃貸 → 持ち家(購入)への引っ越し

この場合、保険の目的が「賃貸物件の家財と賠償責任」から「自己所有の建物と家財」へと完全に変わります。

  • 旧居の契約:賃貸契約の終了に伴い、火災保険を「解約」します。残りの期間に応じた保険料(未経過保険料)が返戻金として戻ってきます。
  • 新居の契約:新しく購入した建物の評価額に基づき、「建物保険」と「家財保険」の両方に新規で加入します。住宅ローンを利用する場合、火災保険の加入が融資の条件となることが一般的です。

パターン③:持ち家 → 持ち家(売却・購入)への引っ越し

手続きは最も複雑で、「解約・新規加入・住所変更・補償額変更」のすべてが絡んできます。

  • 旧居の建物保険:売却・引渡し日をもって解約し、返戻金を受け取ります。
  • 旧居の家財保険:新居へ家財を移動させるため、契約を継続し、保険の「所在地変更(住所変更)」手続きを行います。この際、前述の通り家財の補償額(評価額)を新居に合わせて見直すことが重要です。
  • 新居の建物保険:新しく購入した建物について新規加入します。

このように、引っ越し時の火災保険手続きは、住居の形態と契約の目的(建物・家財・賠償)によって、採るべき道筋が明確に分かれます。次の章からは、あなたの状況に合わせた具体的な手続き方法と、失敗しないためのチェックポイントを解説していきます。

🏠 【賃貸編】引っ越し時の火災保険(家財保険)手続き完全ガイド

賃貸物件から別の賃貸物件へ引っ越すケースは最も多く、手続きの原則は「旧居の保険を解約し、新居の保険に加入し直す」ことです。しかし、この原則から外れる手続きや、見落とされがちなポイントがいくつか存在します。ここでは、賃貸契約における火災保険(家財保険+特約)の正しい手続きを徹底的に解説します。

賃貸物件からの退去:火災保険の「解約」と「中断」の判断基準

旧居の火災保険(家財保険)は、退去日をもって補償が必要なくなるため、原則として解約手続きが必要です。この手続きを忘れると、新居で新しい保険に加入した後も旧居の契約が継続し、保険料を二重に払い続けることになります。

解約手続きのメリットと注意点

  • メリット(返戻金):火災保険は長期契約(2年契約など)で保険料を一括払いしていることが多いため、契約期間が残っていれば「未経過保険料」が日割り計算で返戻金として戻ってきます
  • 手続きのタイミング:解約は、旧居の退去日が確定した時点(少なくとも退去の1ヶ月前)で保険会社に連絡しましょう。解約日は、必ず新居の補償開始日の前日までとし、補償が途切れる期間を作らないように細心の注意が必要です。

長期契約の場合の例外:「住所変更」または「継続」が可能なケース

あなたが契約している火災保険が、「家財保険」のみの契約であり、かつ賃貸借契約で不動産会社や大家さんからの保険会社の指定がない場合は、旧契約を継続できる可能性があります。

【注意点:借家人賠償責任保険の扱い】

多くの賃貸物件の火災保険は「家財保険」に「借家人賠償責任保険」がセットになっています。借家人賠償責任保険は、賃貸借契約を結んだ特定の物件を対象とするため、新居にそのまま継続することはできません。保険を継続(住所変更)したい場合は、この特約を外すか、新居の物件に合わせて特約の住所と補償額を変更する手続きが必要です。

敷金返還に関わる「借家人賠償責任保険」の扱いの注意点

賃貸契約で加入が義務付けられる火災保険の肝となるのが、借家人賠償責任保険です。これは、借りている部屋で火災や水濡れなどを起こし、大家さんに対して損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われるものです。

借家人賠償責任保険が終了するタイミング

この保険は、あなたが旧居を借りている期間と、その物件そのものに対して効力があります。そのため、賃貸契約が終了する「退去日」をもって補償も終了します。

  • 解約の確認:旧居の火災保険を解約する際、保険会社には必ず「借家人賠償責任保険も併せて解約する」ことを明確に伝えましょう。
  • 新居での再加入:新居では、新しく結ぶ賃貸借契約に合わせて、新しい借家人賠償責任保険に加入する必要があります。

「原状回復」と保険の関係

退去時の敷金返還を円滑にするためにも、借家人賠償責任保険は極めて重要です。

  • 水漏れ事故:洗濯機のホースが外れて下の階に水濡れ損害を与えた場合、賠償責任は借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険でカバーされます。
  • 退去時のトラブル:万が一、退去直前や退去作業中に不注意で建物の一部を損壊させてしまった場合でも、補償が必要になることがあります。解約日は、実際に鍵を返却する退去日当日に合わせるようにしましょう。

新しい賃貸物件での火災保険の加入方法と指定保険会社の落とし穴

新居での火災保険加入には、旧居の解約とは異なる特有の注意点が存在します。

不動産会社指定の保険のメリット・デメリット

新しい賃貸契約では、不動産仲介会社や大家さんから特定の保険会社やプランを指定されることが非常に多いです。

指定保険のメリット 指定保険のデメリット(落とし穴)
  • 手続きが非常に簡単で確実。
  • 補償内容が物件の賃貸借契約の条件を満たしている。
  • 家財保険の補償額が過剰なケースがある。
  • 個人賠償責任保険などの特約がすでに他の保険で加入済み(二重加入)でも、強制加入になることがある。

保険会社の「指定」は義務ではない?自分で選ぶ基準

原則として、火災保険の加入は義務ですが、保険会社や商品を指定する行為は独占禁止法上の問題につながるため、借家人賠償責任保険などの最低限の条件を満たせば、家財保険部分は自分で選べるのが一般的です。

  • 確認事項:不動産会社に「指定された保険に入る必要はありますか?」「家財保険部分だけ他の保険会社で契約しても良いですか?」と確認しましょう。
  • 比較検討のポイント:指定された保険が割高な場合、ネット保険などで同等かそれ以上の補償(特に家財補償額や個人賠償責任額)を、より安い保険料で実現できないか比較検討する価値があります。

【重要】新居の補償開始日は「鍵の引渡し日」に合わせる

新居の火災保険の補償開始日は、賃貸借契約上の「入居日」または「鍵の引渡し日」に合わせる必要があります。引っ越し作業中に家財を搬入する際に、万が一の事故(水漏れ、火災など)が発生した場合に備えるためです。

手続きの黄金ルール旧居の補償終了日 = 新居の補償開始日の前日 となるように、日程を厳密に調整しましょう。

🏡 【持ち家編】売却・購入・建替えに伴う火災保険の手続き

持ち家の引っ越し(売買・建替え)に伴う火災保険の手続きは、賃貸のケースと比べてより複雑で、**「建物」と「家財」の補償を分離して考える**必要があります。特に不動産の所有権移転や引渡し日が絡むため、手続きのタイミングを誤ると、大きな金銭的リスク(無保険状態)に直面しかねません。
この章では、持ち家ならではの火災保険の「解約」「新規加入」「継続(住所変更)」の具体的な流れを、専門知識に基づいて解説します。

旧居の売却時:火災保険の解約手続きと未経過保険料の返戻金について

旧居を売却する場合、建物の所有権があなたから新しい買主へと移転するため、建物にかかっていた火災保険は原則として**解約**しなければなりません。

建物保険の解約日と返戻金の正確な計算

建物保険の解約日(補償終了日)は、不動産売買契約における**「物件の引渡し日(決済日)」**の直前とすることが鉄則です。この日をもって建物のリスクは買主に移るためです。

  • 解約のタイミング:解約は、引渡し日が確定次第、速やかに保険会社に連絡し、必要書類(解約請求書、印鑑証明など)を確認しましょう。
  • 未経過保険料の返戻金:火災保険は長期契約(5年、10年など)で一括払いしていることが多いため、契約期間が残っていれば、残存期間に応じて保険料が返戻金として戻ってきます。

【返戻金の計算方法(長期係数)】

返戻金は単純な日割り計算ではなく、長期係数を用いた計算式が適用されます。概算は以下の通りです。

**返戻金 = 契約時の保険料 × (未経過期間に対する返戻率)**

長期契約期間が長いほど、解約が早いほど返戻率は高くなります。正確な金額は保険会社に確認してください。

家財保険の継続と住所変更手続き

旧居の**家財保険**は、建物とは異なり、あなたの持ち物を守るものなので、新居へ引っ越し後も継続させることが可能です。この場合は**「住所変更(所在地変更)」**手続きを行います。

  • 手続きの必要性:住所変更手続きをしないと、新居で事故が起きても「通知義務違反」により保険金が支払われない可能性があります。
  • 構造級別の再計算:新居の住所に変更することで、前述の**建物の構造級別**(木造/鉄骨/コンクリート)や**所在地のリスク評価**が変わり、家財保険の保険料が変動することがあります。変更手続きの際に必ず再計算してもらいましょう。

新居購入時:補償開始日をどう設定するか(引渡し日と決済日)

新しい持ち家を購入する場合、火災保険を新規で加入しなければなりません。ここで最も重要なのが、**補償の「開始日」をいつに設定するか**です。

補償開始日の鉄則:「引渡し日」を起点とする

新居の火災保険(建物・家財)の補償開始日は、買主としてその不動産の**「所有権が移転し、現実の占有を開始する日」**、つまり**「引渡し日(決済日)」**に設定するのが鉄則です。

  • 引渡し日以前のリスク:売買契約締結後であっても、引渡し日までは売主の責任範囲です。この期間に発生した損害は、売主の保険や責任で処理されます。
  • 引渡し日以降のリスク:引渡しと同時に建物のリスクは買主(あなた)に移転します。万が一、引渡し日の翌日に火災が発生した場合、保険に加入していなければ全額自己負担となります。
  • 住宅ローンとの関連:金融機関は、住宅ローン実行日(決済日)までに火災保険の加入を義務付けていることがほとんどです。保険証券の提出が必要になるため、余裕をもって手続きを完了させましょう。

新居の建物評価額と適切な補償額の設定

新居の建物保険の補償額は、購入価格(時価額)ではなく、**「再調達価額」**(同じ建物をもう一度建て直すために必要な費用)を基準に設定します。

  • **評価額の決定**:不動産仲介会社や保険代理店が提供する「建物評価額算出基準」に基づいて、建物の構造、床面積、設備などから正確な再調達価額を算定します。
  • **過剰・過少の回避**:評価額より高く保険をかけても、実際の損害額以上は支払われません(過剰保険)。逆に低く設定すると、いざという時に十分な再建費用が賄えません(過少保険)。専門家と相談し、適正な評価額を設定してください。

建替えやリフォーム時の「住所変更」と「補償額変更」の具体的な手続き

現在お住まいの持ち家を「建替え」たり、大規模な「リフォーム」を行ったりする場合も、火災保険の手続きは必須です。これは、建物のリスク状態が一時的・恒久的に変化するためです。

建替えの場合:既存契約の解約と新築契約の加入

建替えのために既存の建物を解体する場合、その時点をもって建物保険は**解約**します。解体工事期間中は建物が存在しないため、建物保険は不要です。

  • 家財保険の扱い:仮住まいに家財を移動させる場合、家財保険を**「仮住居特約」**として継続させるか、または**「所在地変更(住所変更)」**手続きを行うことで、仮住まいの住所で家財の補償を継続できます。
  • 建築中の補償:新築工事中は、建築会社が加入する「請負業者賠償責任保険」でリスクはカバーされますが、引き渡し後はすぐに新しい建物保険に加入する必要があります。

大規模リフォームの場合:補償額変更(増額)の手続き

大規模リフォームや増築によって建物の価値(再調達価額)が大幅に上昇した場合、現在の建物保険の補償額が「過少保険」となるリスクがあります。

  • 手続きの必要性:リフォーム完了後、速やかに保険会社に連絡し、リフォームにかかった費用や増加した床面積などを伝え、**「補償額の増額」**手続きを行います。
  • 保険料の変更:補償額が増えれば、それに伴い残りの期間の保険料も増額されますが、これにより万が一の際の補償不足を防げます。
  • リフォーム中のリスク:工事期間中は、工事内容によって火災や水濡れのリスクが高まることがあります。工事請負契約に基づき、リフォーム会社の加入している保険(請負業者賠償責任保険)が十分かを確認し、必要であれば特約の追加を検討しましょう。

✍️ 状況別!火災保険の「継続・変更・解約」手続きの流れと必要書類

引っ越し時の火災保険手続きは、「継続(住所変更)」「解約」「新規加入」の3パターンに集約されます。それぞれの状況において、何を、いつまでに、どのように進めるべきかを具体的に把握することが、トラブルを避ける鍵です。ここでは、各手続きの具体的なステップと、保険会社に提出・提示が必要となる書類を網羅的に解説します。

「継続(住所変更)」手続きのステップと必要な書類(新旧住所、構造など)

主に持ち家で家財保険を継続する場合や、賃貸で物件指定がなく家財保険のみを継続する場合に必要となるのが「継続(住所変更)」手続きです。

継続(住所変更)手続きの具体的なステップ

  1. 保険会社への連絡(内諾の取得):新居の契約(引渡し日または入居日)が確定したら、すぐに保険会社または担当代理店に連絡し、新住所での保険継続が可能か確認します。
  2. 必要情報の提供:新旧住所、引っ越し日(新居での補償開始希望日)を伝えます。
  3. 新居の情報提供と補償内容の見直し:新居の建物構造級別(木造/鉄骨/コンクリートなど)や、延床面積を伝えます。この情報に基づき、保険料の再計算が行われます。
  4. 差額保険料の精算:新居の構造やリスク評価によって保険料が増減する場合、差額の支払いまたは返金が行われます。
  5. 変更手続きの完了:「異動承認請求書」などの書類に署名・捺印し、手続き完了です。後日、新しい保険証券(または変更内容を記載した書類)が送付されます。

継続手続きに必要な主要書類と情報

書類/情報 確認・提出目的
現在の保険証券番号 契約特定のため。
新居の住所、構造、延床面積 保険料とリスク評価の再計算のため。(マンションの場合は専有面積、戸建ては延床面積)
新居の契約書/重要事項説明書(コピー) 補償開始日(引渡し日/入居日)の確定と、構造確認のため。
印鑑証明書(一部の保険会社、手続きで必要) 契約者本人確認のため。

【プロのアドバイス】:手続きの中で、現在の家財補償額や、個人賠償責任保険などの特約の見直しを同時に行いましょう。住所変更は、補償内容を最適化する絶好の機会です。


「解約」手続きの連絡方法と、返戻金が発生する条件と計算方法

旧居の建物保険(持ち家売却時)や、旧居の賃貸火災保険(賃貸からの退去時)は、原則として解約手続きが必要です。

解約手続きの連絡方法と必須情報

  • 連絡方法:保険会社のカスタマーサービス、ウェブサイトのマイページ、または担当代理店に連絡します。電話一本で仮受付できる会社が多いです。
  • 必要事項
    • 証券番号
    • 解約希望日(旧居の引渡し日/退去日)
    • 解約理由(例:家財の所在地変更、物件売却)
    • 返戻金の振込先口座情報(契約者名義)
  • 注意点:解約請求書が郵送で届くため、必要事項を記入・捺印し、返送することで正式に解約が成立します。書類の不備で解約が遅れると、その分の保険料は戻ってきません。

未経過保険料の返戻金が発生する条件と計算方法の詳細

火災保険の返戻金は、以下の**2つの条件**を満たした際に発生します。

  • **条件1:保険料を一括(または長期前払)で支払っていること。**
  • **条件2:契約期間が残っていること。**(多くの場合、解約日が残存期間に対して1ヶ月以上あること)

返戻金の計算は、保険会社が定める**「短期率」**または**「長期係数」**を用いて行われます。

【返戻金の具体的な計算(長期一括払いのケース)】

返戻金は、単なる残存期間の日割り計算ではありません。契約期間が長く、途中解約の場合、**経過期間が長くなるほど返戻率は低く設定される**のが一般的です。

**返戻率 = 1 − 経過期間に対する短期率(または長期係数)**

例:10年契約(保険料50万円)を3年で解約した場合、短期率が35%と仮定すると、返戻金は約 $50万 \times (1 – 0.35) = 32.5$万円となります。この係数は保険会社や商品によって異なります。


手続きのベストなタイミングはいつか?契約者情報の変更期限と期限を過ぎた場合の対処法

火災保険の手続きにおいて、最も失敗が多いのが「タイミングのズレ」です。補償が途切れる「無保険期間」や、保険料の二重払いを防ぐための最適なタイミングを解説します。

手続き開始のベストタイミング:引っ越しの1〜2ヶ月前

火災保険の「住所変更」や「解約」は、引っ越し日(新居の引渡し日/入居日)の1ヶ月〜2週間前には保険会社への連絡を済ませておくのが理想です。

  • 賃貸の場合:新しい賃貸物件の契約(指定保険)が確定したら、すぐに旧居の解約手続きを進める。
  • 持ち家の場合:引渡し日(決済日)が確定したら、その日から逆算して新規加入手続きを完了させる。(ローン契約がある場合は、審査期間も考慮し、最低1ヶ月前には新規加入の検討を開始)

契約者情報の「通知義務」と変更手続きの期限

保険契約には、契約内容に重要な変更があった場合に保険会社に通知する**「通知義務」**があり、引っ越しによる所在地変更もこれにあたります。

  • 変更期限:多くの保険約款では、「変更が生じた日から14日以内」と定めているケースが多いです。
  • 通知義務違反のリスク:この通知義務を怠り、変更後の新居で事故が発生した場合、保険会社は「告知義務違反」を理由に保険金の支払いを拒否、または減額する権利を持つことがあります。

期限を過ぎた場合の対処法(無保険期間の解消)

引っ越しが完了してから「そういえば保険の手続きを忘れていた!」と気づいた場合でも、落ち着いて迅速に対処すればリスクは最小限に抑えられます。

  1. 即座に連絡:気づいた時点で、すぐに保険会社に連絡し、「所在地変更(住所変更)の届出遅延」があったことを正直に伝えます。
  2. 遡及適用(そきゅうてきよう)の確認:保険会社によっては、引っ越し日を起点として、**遡って住所変更の処理を適用できる**場合があります。この場合、保険金が未払いとなるリスクは解消されます。
  3. 新旧契約の調整:旧居の解約が遅れている場合は、すぐに解約日を新居の補償開始日に合わせて調整し、二重払いを防ぎます。

いずれの場合も、**「補償開始日が1日でも空くと無保険状態になる」**という認識を持ち、遅れたことに気づいた瞬間から、最優先で保険会社と連携して手続きを進めることが重要です。

💰 火災保険見直しで「払いすぎ」を防ぐ!補償内容の最適化戦略

前の章までで、引っ越しに伴う火災保険の複雑な手続きの流れを理解いただけたかと思います。しかし、手続きが済めば終わりではありません。引っ越しは、あなたの保険料が「払いすぎ」になっていないか、あるいは「補償不足」に陥っていないかを確認し、最適化するための最大のチャンスです。

特に、新居の構造や所在地、あなたの家財の総額が変わることで、保険料は劇的に変わる可能性があります。ここでは、専門家の視点から、保険料を適正化し、「払いすぎ」を確実に防ぐための具体的な見直し戦略を解説します。

家財保険の見直し:世帯人数や新居の間取りに合わせた適正額の算出方法

家財保険の保険料を左右する最大の要因は、設定する「保険金額(補償額)」です。この金額が実際の家財の価値よりも高すぎると「過剰保険」となり、保険料を無駄に払い続けることになります。引っ越しを機に、家財の総額を再評価し、適正な保険金額を設定しましょう。

家財保険の適正額は「再調達価額」で考える

家財保険の保険金額は、「再調達価額」(その家財を新しく買い直すのに必要な金額)を基準に設定するのが原則です。時価額(現在の価値)で設定すると、万が一の際に十分な保険金を受け取れません。

適正額算出の具体的な方法(簡易速算表の活用)

家財一つ一つを評価するのは困難なため、多くの保険会社は、世帯主の年齢や家族構成、居住面積に基づいた「簡易的な家財評価額算出表」を提供しています。この表を活用することで、短時間で適正な補償額の目安を知ることができます。

世帯主の年齢 家族構成(人数) 家財保険金額の目安(万円)
20代〜30代 単身(1人) 300〜500万円
夫婦(2人) 700〜1,000万円
40代〜50代 家族(3〜4人) 1,000〜1,500万円
5人以上 1,500万円以上

【重要】上記の目安額はあくまで標準的な家財構成の場合です。高額な美術品、宝飾品、高級な趣味の機材などを多く所有している場合は、別途「明記物件」として契約に記載し、補償額を加算する必要があります。明記しないと補償対象外となる可能性があるため注意が必要です。


不要な特約の見極め方:地震保険、水災、風災などのリスク評価

火災保険の保険料を大きく左右するのが、基本補償に上乗せする**「特約」**、特に「水災補償」「地震保険」です。新居のリスクに合わせて特約を見直すことで、保険料を大幅に削減できる可能性があります。

1. 水災(水害)補償の必要性の見極め方

水災補償は、洪水、高潮、土砂崩れなどによる損害をカバーしますが、保険料が高くなりがちです。新居で水災補償が必要かどうかは、以下の基準で判断します。

  • 【最重要】ハザードマップの確認:新居の所在地が、自治体が公表している「水害ハザードマップ」の浸水想定区域(特に浸水深1m以上)に含まれているかを確認します。
  • 建物の階層:マンションの3階以上など、高層階の家財であれば、水災リスクは極めて低くなります。水災補償を外すことで、保険料を大きく削減できる可能性があります。
  • 建物の構造:地下室や半地下のある建物は、水災リスクが高まります。

【プロの視点:マンション高層階の場合】

マンション高層階の場合、外部からの浸水(水災)リスクはほぼゼロですが、自分の部屋で発生した給排水設備の事故による水漏れ(漏水)は、火災保険の基本補償(または特約)に含まれます。水災補償と水濡れ補償は別物であるため、水災を外しても水濡れ補償は残ることを確認しましょう。

2. 地震保険の付帯と補償額の調整

地震保険は、火災保険に必ずセットで加入するものであり、単独での加入や地震のみの契約はできません。地震、噴火、津波による火災や損壊を補償します。

  • 補償額の上限:地震保険の保険金額は、主契約である火災保険(建物・家財)の保険金額の30%〜50%までと法律で定められています。
  • 保険料の削減:建物が新耐震基準(1981年6月1日以降の建築確認)を満たしている場合、または免震・耐震構造の場合は割引(最大50%)が適用されます。新居の建築年を確認し、割引が適用されているかチェックしましょう。
  • 「最大50%」の妥当性:建物(特に持ち家)の損害が全損に近い場合、火災保険の50%では再建費用に不足する可能性が高いです。しかし、保険料とのバランスを考慮し、50%に設定することが一般的です。

3. その他の特約(個人賠償責任保険など)の重複回避

火災保険には、水漏れで隣家に損害を与えた場合に備える**「個人賠償責任保険」**が特約として付帯されることが多いですが、これは自動車保険や傷害保険、クレジットカード付帯の保険などでも加入している場合があります。

【見直しの鉄則】:個人賠償責任保険は、家族全員を対象に、**どれか一つの契約で高額補償(例:1億円以上)に入っていれば十分**です。二重に加入していても、保険金が2倍支払われることはありません。重複している場合は、保険料の安い方、または補償額が十分な一つを残し、他の契約からは外しましょう。


保険期間の選び方:短期・長期契約のメリットとデメリット(保険料と更新の手間)

火災保険は、契約期間を1年間の短期契約から、最長5年間(2022年10月以降)の長期契約まで選ぶことができます。引っ越しを機に、保険期間を見直すことで、将来的な保険料負担と更新の手間を最適化できます。

長期契約(5年)の圧倒的なメリットと現在のトレンド

現行制度(2022年10月以降)では最長5年契約ですが、**長期契約は短期契約に比べて保険料が割安になる**というメリットがあります。

  • 保険料の割引:例えば、5年契約の保険料総額は、1年契約を5回繰り返すよりも安価に設定されています。
  • 更新手続きの手間削減:5年間、保険の見直しや更新手続きの手間から解放されます。
  • 保険料の固定:契約期間中は、途中で保険料が改定されても影響を受けません。

短期契約(1年)のデメリットとメリット

賃貸物件の契約期間(通常2年)に合わせたい場合や、将来的に売却や建替えの予定がある場合に短期契約が選択されますが、一般的には長期契約が推奨されます。

契約期間 メリット デメリット
長期契約(5年)
  • 保険料が割安になる。
  • 更新の手間が少ない。
  • 保険料率の改定に影響されない。
  • 途中で解約すると返戻金計算が面倒。
  • 補償内容の見直しの機会が少ない。
短期契約(1年)
  • 引っ越しや売却の予定に合わせやすい。
  • 毎年、補償内容を細かく見直せる。
  • 保険料が割高になる。
  • 毎年更新手続きが必要で手間がかかる。

【賃貸の特例】2年契約と長期契約の比較

賃貸契約では、賃貸借契約期間(通常2年)に合わせた2年契約が一般的ですが、家財保険と個人賠償責任保険を自分の好きな保険会社で加入できる場合、5年契約を選ぶことで保険料を節約できる可能性があります。その場合、契約期間中に引っ越しをすれば、残りの期間の保険料は解約返戻金として戻ってきます。

最適な契約期間は、「新居にどれくらいの期間住む予定か」を基準に判断しましょう。長期居住の可能性がある場合は、迷わず5年契約を選ぶのが賢明です。

⚠️ 見落とし厳禁!火災保険手続きにおける3つの失敗とリスク対策

引っ越しが無事完了し、新居での生活が始まった後、多くの方が「手続きは全て終わった」と安心しがちです。しかし、火災保険の手続きにおいては、この最後の油断こそが**「無保険状態」や「二重払い」**といった重大なリスクを引き起こす原因となります。

本章では、これまで解説してきた内容を踏まえ、引っ越し時に多くの人が実際に犯しやすい火災保険手続きの**「3大失敗パターン」**を具体的に示し、それぞれの失敗を未然に防ぐための専門的なリスク対策を徹底的に解説します。この記事を読み終えれば、あなたはこれらの落とし穴を完全に回避できるでしょう。

無保険状態のリスク:手続きの遅延で補償が途切れる期間の対策

火災保険手続きにおける最大の失敗は、補償が一切ない**「無保険期間」**をうっかり作ってしまうことです。火災や水漏れは、引っ越し作業中の不注意や、新居への入居直後にこそ発生しやすいリスクであり、その瞬間に無保険状態だと、損害の全てを自己負担しなければなりません。

失敗パターン:新旧契約の「空白期間」の発生

この失敗は、主に以下の2つの手続きの「ズレ」によって発生します。

  • 旧居の解約日を早めすぎる:旧居の火災保険(特に家財保険)を、まだ家財が残っている引っ越し作業期間中に解約してしまう。
  • 新居の開始日を遅らせすぎる:新居の鍵の引渡し日(または入居日)に保険を間に合わせず、荷物の搬入日から補償開始をスタートしてしまう。

リスク対策①:新旧契約の「補償開始・終了時刻」を厳密に調整する

多くの火災保険契約は、**「開始日・終了日の午後4時(または24時)」**を補償の区切りとしていますが、保険会社や商品によって時刻が異なります。この時刻の認識のズレが空白期間を生むことがあります。

【空白期間をゼロにするための黄金ルール】

新居の補償開始時刻を、旧居の補償終了時刻の「直後」に設定します。

旧居の解約:【退去日当日】の午後4時終了

新居の開始:【退去日当日】の午後4時1分開始

これが理想です。保険会社に連絡する際は、必ず**「時刻」**まで指定して手続きを依頼してください。

リスク対策②:引っ越し中の家財をカバーする特約の活用(運送期間特約)

引っ越し業者が家財を運送している期間(旧居を出てから新居に到着するまで)に発生した損害は、基本的に引っ越し業者の運送保険でカバーされます。しかし、補償上限額が低かったり、免責事項が多かったりする場合があります。

これを補完するために、一部の火災保険には「運送期間中の家財補償特約」(名称は保険会社により異なる)を付帯できる場合があります。この特約を付帯すれば、旧居の補償が切れてから新居の補償が始まるまでの間でも、家財が破損・盗難などの被害に遭った場合に備えられます。引っ越しが決まったら、現在契約している保険会社にこの特約の有無を確認しましょう。


二重払いの回避策:新旧契約の開始日・終了日の正確な調整方法

無保険期間とは対照的に、旧居の保険を解約し忘れ、新居の保険と二重に加入してしまう**「二重払い」**もよくある失敗です。特に、賃貸契約で不動産会社指定の保険に何も考えず加入した場合に発生しやすいです。

失敗パターン:契約期間の「重複」による無駄な保険料の支払い

二重払いの原因は、主に以下の2つです。

  • 旧居の解約忘れ:特に長期契約(2年一括払いなど)の場合、引っ越し後に解約手続きを忘れると、残りの期間の保険料を無駄に払い続けることになる。
  • 特約の重複:火災保険に付帯した「個人賠償責任保険」を、新居の火災保険、自動車保険、クレジットカード付帯保険など、他の契約でも重複して加入してしまう。

リスク対策①:新旧契約の「解約日」と「開始日」の同日設定

二重払いを防ぐための最も確実な対策は、**「新旧の補償終了日と開始日を同日にする」**ことです。

  • 賃貸の場合:旧居の賃貸借契約の解約日(退去日)をもって旧契約を解約し、新居の賃貸借契約の開始日(入居日)をもって新契約を開始します。
  • 持ち家の場合:旧居の建物保険の解約日を売買の引渡し日(決済日)に設定し、新居の建物保険の開始日も同じ引渡し日(決済日)に設定します。

この同日設定を保険会社に依頼することで、無保険期間と二重払いを同時に回避できます。

リスク対策②:重複特約の解約(個人賠償責任保険の整理)

前章でも触れましたが、個人賠償責任保険は、どれか一つの契約で家族全員を対象にした高額補償に入っていれば十分です。

個人賠償保険の確認場所 確認すべきアクション
現行の火災保険(旧居) 解約(または新居の契約に一本化)
新居の火災保険 他の保険で入っていないか確認し、重複していれば付帯しない。
自動車保険・傷害保険 付帯されていれば、火災保険から特約を削除し、保険料を削減。

手続きの際は、保険会社に「個人賠償責任保険は重複になるので、今回は外してください」と明確に伝えましょう。


特約の自動継続による失敗:旧居の特約が新居で不要になるケース

火災保険の「住所変更」手続きを行った場合、基本的には旧契約の補償内容(特約含む)がそのまま新居に引き継がれます。しかし、新居の環境によってその特約が「不要」または「不適切」になることがあり、これも無駄な保険料を払う原因となります。

失敗パターン:賃貸からマンション高層階へ引っ越す場合の「水災補償」

この失敗は、特に戸建てや低層階の賃貸から、高層マンションへの引っ越しで顕著に現れます。

  • 旧居:低層階で水害ハザードエリアだったため、水災補償を付帯していた。
  • 新居:マンションの10階以上に引っ越し、水災リスクはほぼゼロになった。

この場合、住所変更手続きだけを行うと、新居の保険料は建物の構造級別で安くなる一方、不要な水災補償の保険料が自動的に継続されてしまいます。水災補償の保険料は比較的高額なため、大きな無駄となります。

リスク対策:新居の環境変化に基づく「特約の再評価と削除」

住所変更手続きを行う際は、必ず保険会社に以下の質問を行いましょう。

  • 「現在の契約に付帯されている特約を全てリストアップしてもらえますか?」
  • 「新居の環境(○階建て、ハザードマップ上での所在地)を考慮し、不要となる特約はありますか?」

【新居への引っ越しで「削除」を検討すべき特約リスト】

  • 水災補償:マンション高層階(3階以上)への引っ越しの場合。
  • 個人賠償責任保険:他の保険でより高額な補償に加入している場合。
  • 家賃損失補償特約:持ち家へ引っ越し、賃貸収入がない場合。
  • 盗難・水濡れ補償の一部:新築でセキュリティが格段に向上した場合など。

特に持ち家の場合、建物が新築であれば、建物評価額の変更だけでなく、**建物の構造級別(H構造からT・M構造へ)**が変わり、それに伴い火災リスク(保険料)が大きく下がることもあります。特約の取捨選択と基本補償の見直しを同時に行うことが、引っ越しにおける火災保険手続きの「最終チェックポイント」であり、保険料最適化の最後の砦となります。

🏠 よくある質問(FAQ)

引っ越し時の火災保険の見直し・切り替えについて、多くの方が抱える疑問とその答えをまとめました。

Q. 引越しをしても、現在契約している火災保険の契約は継続できますか?

A. **賃貸**と**持ち家**、**補償対象(建物か家財か)**によって対応が異なります。

  • 【持ち家の建物保険】: 旧居を売却する場合、建物の所有者が変わるため、**原則解約**が必要です。新居では新規に加入します。
  • 【家財保険(賃貸・持ち家共通)】: 家財(家具や家電)は新居へ移動するため、契約を**継続し「住所変更(所在地変更)」手続き**を行うことが可能です。ただし、新居の構造や所在地リスクに応じて保険料の再計算が必要です。
  • 【賃貸の借家人賠償責任保険】: 特定の賃貸物件を対象とするため、**旧居の契約は退去日をもって解約**し、新居では新しい契約(通常、新賃貸契約に付帯)に加入し直す必要があります。

**住所変更手続きを怠ると、新居で事故が起きても補償を受けられない可能性がある**ため、必ず引っ越し前に保険会社へ連絡してください。

Q. 引っ越し後も、家財(家具・家電など)の火災保険(家財保険)を引き続き継続することはできますか?

A. はい、**家財保険の契約は継続できます**。家財はあなたの持ち物であり、新居へ移動するためです。

継続する場合は、保険会社に**「所在地変更(住所変更)」**の手続きを行う必要があります。

  • **必須の手続き**: **新居の住所、建物の構造級別(木造か鉄骨・コンクリートか)、延床面積**を保険会社に伝え、保険料の再計算を行います。
  • **重要な見直し**: 引っ越しは、**家財の総額(補償額)を見直す絶好の機会**です。世帯人数や家財が増えている場合は「補償額の増額」を、減っている場合は「減額」を行い、**払いすぎ(過剰保険)**を防ぎましょう。
  • **注意点**: 賃貸物件の場合、セットになっている**「借家人賠償責任保険」**は新居に合わせて変更・新規加入が必要です。

Q. 賃貸物件で引っ越しをすると火災保険はどうなる?必要な手続きと注意点を解説

A. 賃貸から賃貸への引っ越しの場合、原則として**「旧居の保険を解約し、新居の保険に新規加入する」**流れになります。

📌 賃貸で必須となる2つの手続き

  • **旧居の契約の解約**: 退去日をもって、旧居の火災保険(家財保険+借家人賠償責任保険)を**解約**します。契約期間が残っていれば、**未経過保険料が返戻金**として戻ってきます。
  • **新居の契約の新規加入**: 新しい賃貸借契約の条件に基づき、新居で火災保険(家財保険+借家人賠償責任保険)に**新規加入**します。多くの場合、不動産会社から指定されますが、家財保険部分は自分で選べるか確認しましょう。

⚠️ 最大の注意点:「無保険期間」と「二重払い」の回避

  • **無保険期間の回避**: **旧居の補償終了日 = 新居の補償開始日の前日**となるよう、日時を厳密に調整し、補償の空白期間を作らないようにしてください。
  • **二重払いの回避**: 旧居の解約手続きを忘れると、新居の保険と二重払いになるため、退去日が確定したらすぐに解約手続きを行いましょう。

🔑 まとめ:あなたの引っ越しを「安心」と「節約」で完了させる3つの即時行動

引っ越し時の火災保険手続きは、「賃貸」と「持ち家」、そして「建物」「家財」「賠償」の3要素によって採るべき行動が分かれます。
適切な手続きこそが、「無保険」リスク「二重払い」の無駄を同時に解消する唯一の道です。

✅ 記事内容に基づく「状況別」最適な手続きの最終確認

引っ越しパターン 旧居(解約/住所変更) 新居(新規加入)
賃貸 → 賃貸 原則「解約」(借家人賠償は必須)し、返戻金を受け取る。 新契約に基づき新規加入。家財補償額と個人賠償特約の重複をチェック!
持ち家 → 持ち家 建物は引渡し日に「解約」。家財は新居へ「住所変更」し、補償額を見直す。 新居の建物と家財を新規加入。補償開始日は「引渡し日」に厳守。

🎯 読者が取るべき「3つの即時行動」

  1. 【最優先!】補償開始・終了時刻の「厳密な調整」を行う

    新居の鍵の引渡し日(または入居日)の**「時刻」**を基準に、旧居の解約日と新居の開始日を調整し、**補償の空白期間(無保険状態)を1分たりとも作らない**ことを保険会社に明確に伝えましょう。

  2. 【節約効果大!】家財保険の「補償額」を再算定する

    世帯構成や家電の買い替え状況を基に、家財保険の簡易速算表(目安額)を使って**保険金額が過剰になっていないか**をチェックし、保険料の払いすぎを是正しましょう。

  3. 【二重払い回避!】不要な「特約の重複」を洗い出す

    **個人賠償責任保険**は、火災保険以外(自動車保険、傷害保険など)にも付帯されがちです。**一つの契約で十分**なので、重複している分は速やかに解約し、保険料を削減しましょう。

💡 今すぐ行動して、安心と最適化を手に入れましょう!

まずは、現在契約している火災保険の証券を取り出し、保険会社に**「新居への住所変更または解約手続きの相談」**の電話を一本入れてください。

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