【地域別】おすすめガス会社ランキング【都市ガス自由化】

💡 都市ガス自由化とは？切り替えでガス代が安くなる仕組みとメリット・デメリット

2016年に電気、そして2017年4月にスタートしたのが都市ガス小売全面自由化です。これは、一般家庭を含むすべての消費者が、それまで地域の大手ガス会社（東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど）に限定されていた契約先を、自由に選べるようになった制度改革です。

この自由化により、従来のガス会社だけでなく、電力会社、石油元売り会社、通信会社など、様々な事業者が都市ガス市場に参入できるようになり、料金プランの競争が生まれました。しかし、この制度を正しく理解していなければ、せっかくの「選ぶ自由」を活かすことはできません。まずはその基礎知識から解説します。

都市ガス小売自由化で何が変わったか：旧一般ガス事業者との違い

自由化によって変わったのは、「誰がガスを売れるか」という点です。ガスの供給体制は大きく分けて「導管部門」「小売部門」「製造・輸入部門」の3つに分かれています。

部門名	主な役割	自由化の影響
導管部門（ネットワーク）	ガスを家庭に届けるためのパイプライン（ガス管）の維持・管理	自由化の対象外。地域の旧一般ガス会社が引き続き管理。
小売部門（販売）	ガスの料金プランを設定し、消費者と契約を結び、販売する	全面自由化。新規参入が可能になり、料金競争が活発化。

ポイントは、ガス管自体は変わらないという点です。つまり、どの新しいガス会社に切り替えたとしても、これまで通り地域の旧一般ガス事業者（例：東京ガス）が所有・管理するガス管を通じてガスが供給されます。そのため、ガスの品質や供給の安定性（停電・ガス漏れ時の対応など）が変わることは一切ありません。これは、切り替えをためらう人が抱く最大の不安を解消する重要な事実です。

💡 重要: ガスの供給安定性は変わらない
ガス自由化後も、ガス導管の管理責任は地域の大手ガス会社が持ちます。万が一のガス漏れや災害時も、これまでと同じ会社が対応するため、安心して切り替えができます。

ガス代が安くなる3つの仕組み：基本料金/従量料金の割引とセット割

新しく参入したガス会社（新ガス）は、従来のガス会社（旧一般ガス事業者）が提供する「一般料金」よりも安い料金プランを設定することで競争を仕掛けています。ガス代が安くなるメカニズムは、主に以下の3パターンです。

1. 基本料金の割引（固定費の削減）

ガス料金は通常、「基本料金」と「従量料金（使った分だけかかる料金）」の合計で決まります。新ガスの中には、旧一般ガス事業者の基本料金を一定割合で割引、または基本料金を丸ごと0円にするプランを提供している会社があります。ガス使用量が少ない一人暮らしの方や、ガスの利用頻度が低い世帯にとって大きなメリットとなります。

2. 従量料金（単位料金）の割引（変動費の削減）

ガス使用量に応じてかかる従量料金の単価（1m³あたりの料金）を旧一般ガス事業者より安く設定するプランです。ガスの使用量が多いファミリー世帯や、冬場に床暖房などで大量にガスを使う世帯は、この従量料金の割引率が高いプランを選ぶことで、年間数万円単位の大幅な節約が可能になります。

3. 電気・ガスセット割（複合割引）

最も一般的なのが、新ガス会社が提供する電気とガスをセットで契約することで適用される割引です。多くの新ガス会社は電気小売事業にも参入しているため、セットで契約することで合計額からさらに0.5%〜最大10%程度の割引を受けられるケースが多いです。特に、電力・ガスどちらも切り替えを検討している方には、手続きの手間も減るため人気の方法です。

割引タイプ	最適な世帯	代表的なプラン（例）
基本料金割引（0円含む）	一人暮らし、ガスの使用量が少ない世帯	エルピオ都市ガス（スタンダードプランなど）
従量料金割引	ファミリー、床暖房利用などガスの使用量が多い世帯	CDエナジーダイレクト（ベーシックガスなど）
電気・ガスセット割	電気もガスも切り替えたい世帯、手続きを簡略化したい世帯	東京ガス、大阪ガスの電気セットプランなど

デメリットと対策：契約期間の縛り、解約金、サービスの安定性

ガス会社を切り替えることは基本的に大きなメリットがありますが、一部の潜在的なデメリット（リスク）も存在します。これらのリスクを知っておくことで、「失敗した」と後悔することを未然に防げます。

潜在的なデメリット1：契約期間の縛りと解約金

一部のガス会社（特に大幅な割引を提供するプラン）では、1年や2年といった契約期間の縛りを設けており、その期間内に解約すると数千円〜1万円程度の解約金（違約金）が発生する場合があります。

• 【対策】：契約前に必ず「契約期間」と「解約条件・違約金の有無」を確認してください。特に引っ越しやライフスタイルの変化（オール電化への移行など）が近い方は、解約金がないプランを選ぶのが賢明です。

潜在的なデメリット2：原料費調整額の上限撤廃

従来の旧一般ガス事業者が提供する「一般料金」では、原油価格などが高騰した場合でも、ガス料金の値上がり幅を抑えるために原料費調整額に上限が設けられていました。しかし、新ガス会社の多くは、この上限を撤廃しています。

• 【対策】：国際的な燃料価格が高騰した際、新ガス会社の料金が一時的に旧一般ガス会社の料金を上回る可能性があります。これは特に冬場など、ガス使用量が多い時期に顕著になります。料金比較サイトなどで、上限の有無と過去の料金変動をチェックし、価格の安定性を重視するか、平時の割引率を重視するかを判断しましょう。

潜在的なデメリット3：ポイントや特典が複雑で分かりにくい

ガス会社の中には、ガス料金そのものの割引ではなく、提携先のポイント（Tポイント、楽天ポイント、Pontaポイントなど）の付与や、提携サービス（インターネット、動画配信など）とのセット特典で還元をアピールしているケースがあります。

• 【対策】：ポイントや特典は魅力的ですが、「結局、現金割引が一番確実」です。ポイント還元分も含めて「実質的なガス料金」を計算し、他の純粋な割引プランと比較することをおすすめします。利用しない特典は、節約効果ゼロと見なしましょう。

💰 【地域別】ガス会社おすすめランキングTOP3と料金シミュレーション

都市ガス会社の料金プランは、供給エリアによって大きく異なります。なぜなら、ガスは地域の大手ガス会社（東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど）が所有する導管網を使って供給されるため、あなたの住む地域によって契約できる会社が限られているからです。

ここでは、国内の都市ガス需要の大部分を占める「関東エリア」「関西エリア」「中部エリア」の3つに分け、それぞれの地域で電気・ガスセット割も含めて料金が最も安くなりやすいおすすめのガス会社をランキング形式でご紹介します。

🚨 ランキング選定基準の留意点
ランキングは、各社の「一般料金」に対する割引率、燃料費調整額の上限設定の有無、世帯人数別の平均ガス使用量（月間30m³〜50m³）でシミュレーションした結果に基づいています。最終的な料金はガスの使用量や契約プランによって変動するため、必ず公式サイトで最終確認を行ってください。

東京ガスエリア（関東）で最も安い都市ガス会社ランキング

関東エリア（東京ガス管内）は、新規参入事業者が最も多く、競争が激しいエリアです。特に電力会社系、通信会社系、商社系のガス会社が強力な割引プランを提供しています。

順位	ガス会社名	おすすめポイントと料金傾向
1位	CDエナジーダイレクト	旧一般ガス会社（東京ガス）よりも従量料金の割引率が高いため、ファミリー層やガスの利用が多い世帯で大きな節約効果を発揮します。電気とのセット割引も強力で、ポイント還元も充実しています。燃料費調整額の上限は撤廃されていますが、割引幅が大きいため平時の安さに優れます。
2位	ニチガス（日本瓦斯）	ガス代の請求がアプリで管理でき、透明性が高いのが特徴。電気とのセットプラン（ニチガスでんき）で割引が適用され、特に小〜中容量の世帯でも安さが際立つプラン設計です。基本料金・従量料金ともにバランス良く割引が効いています。
3位	東京ガス	従来の安心感に加え、電気とのセット割引（ガス・電気セット割）を利用することで、他社に引けを取らない料金水準になります。特典として東京ガスのサービスを利用できる点が魅力。価格競争力は他社に劣る場合もあるが、安定性・信頼性重視なら最有力です。

🔑 東京ガスエリアの料金シミュレーション例（月間40m³使用・ファミリー世帯）
旧一般料金と比較して、CDエナジーダイレクトやニチガスは年間で約5,000円〜10,000円程度のガス代削減が見込める傾向にあります。電気もセットにすることでさらに削減額が拡大します。

大阪ガスエリア（関西）で最も安い都市ガス会社ランキング

関西エリア（大阪ガス管内）では、大阪ガス自体が強力なセット割を展開する一方、地域電力会社系（関電ガスなど）や通信会社系が対抗馬として競争を繰り広げています。関西エリアでは特に電気とのセット割のメリットを重視することが重要です。

順位	ガス会社名	おすすめポイントと料金傾向
1位	大阪ガス	旧一般ガス会社ですが、自由化後も「スタイルプラン」など多くの割引プランを提供。特に電気・ガスセット割（まとめ割）の割引率が高く、ガス・電気の契約を一元化したい関西のユーザーにとっては、最も手間がなくお得になるケースが多いです。床暖房利用者向けプランも充実。
2位	関電ガス（関西電力）	関西電力グループが提供。電気とセットにすることで強力な割引が適用されます。特に電気の使用量が多い世帯は、関電ガスのセット割が大阪ガスのセット割を上回るケースも出てきます。ポイント還元（はぴeポイントなど）も充実。
3位	ENEOS都市ガス	ガソリン代や車関連サービスとのセット割引が特徴。ガソリン給油が多いドライバーにとって、ガス代の割引に加えて実質的な家計全体での節約効果を狙うことができます。単体での割引率は上位2社に比べると劣る場合が多いです。

🔑 大阪ガスエリアの料金シミュレーション例（月間50m³使用・大家族世帯）
関西エリアでは、特にガス・電気のセット契約が鍵となります。大阪ガスと関電ガスを比較検討し、電気使用量が多いなら関電ガス、平均的なら大阪ガスのセット割が有利になる傾向が見られます。

東邦ガスエリア（中部）で最も安い都市ガス会社ランキング

中部エリア（東邦ガス管内）は、東京・大阪に次ぐ都市ガス供給エリアです。地域性の高いセット割や、大手エネルギー会社が参入しており、特に地域インフラに強い会社を検討する必要があります。

順位	ガス会社名	おすすめポイントと料金傾向
1位	東邦ガス	旧一般ガス会社ですが、関西エリアの大阪ガスと同様に電気との強力なセット割（ファミリープランなど）で、新規参入組を牽制しています。特に冬場のガス利用量が多い世帯向けの割引プランが充実しており、地域での信頼性と料金のバランスが取れています。
2位	中部電力ミライズ	中部電力グループのガス事業。やはり電気とのセット割が非常に強力であり、中部エリアで既に中部電力の電気を契約しているユーザーには乗り換え手続きが容易でメリットが大きいです。ガス単体でも東邦ガスの一般料金より安くなるよう設計されています。
3位	HTBエナジー	従量料金の割引率が比較的高く、特にガス使用量が多い家庭におすすめ。基本料金は東邦ガスより安価な傾向にあります。ただし、燃料費調整額の上限撤廃プランが多いため、国際情勢による料金変動リスクには注意が必要です。

🔑 東邦ガスエリアの料金シミュレーション例（月間30m³使用・夫婦二人世帯）
中部エリアは、東邦ガスと中部電力ミライズのセット割競争が軸となっています。既にどちらかの電気を利用している場合は、そのままガスもセットにすることで、手続きの煩雑さを避けて最大割引を得やすいでしょう。

このように、最もお得なガス会社はお住まいの地域とガスの使用量（世帯構成）によって完全に異なります。次のセクションでは、具体的な世帯人数やライフスタイル別に、ランキングで紹介した会社の中から「あなたに最適なプラン」をさらに深掘りして解説します。

🏡 世帯人数別・利用状況別！最適なガス会社の選び方とプラン比較

前セクションでは地域別のランキングをご紹介しましたが、ガス会社選びで最も重要なのは「あなたのガスの使用量とライフスタイル」に合わせたプランを選ぶことです。ガス料金は「基本料金（固定費）」と「従量料金（変動費）」で構成されており、どちらの割引を重視すべきかは世帯によって全く異なります。

ここでは、あなたの世帯に最適な料金プランを見つけ出すための具体的なプラン比較と、検討すべき具体的なガス会社を解説します。

一人暮らし（少容量）に最適な基本料金割引・定額プラン

一人暮らしや、日中家にいる時間が短い共働き世帯など、月間のガス使用量が比較的少ない（目安：0m³〜15m³未満）世帯は、使用量にかかわらず発生する基本料金の割引を重視すべきです。従量料金の割引率が高くても、絶対的な使用量が少ないため、割引額が小さくなってしまうからです。

【戦略】固定費の削減を最優先する

最適なプランは、基本料金を大幅に割引、または基本料金を0円（無料）に設定しているプランです。これにより、ガスを使わない月でも無駄な固定費を支払う必要がなくなります。

重視すべきポイント	具体的なプラン/会社例（東京ガスエリア）
基本料金0円/定額割引	エルピオ都市ガス（特定の料金メニューで基本料金を抑えている） 東京ガス（基本料金が比較的安いプランを選択する）
ガス・電気セット割引（少容量向け）	ENEOS都市ガス（電気も小容量プランとセットにする） ニチガス（基本料金と従量料金のバランスが良い）

📌 一人暮らしの重要チェックポイント
検針票を確認し、あなたのガスの契約が「A契約（比較的容量が小さい）」になっているか確認しましょう。また、ガスをほとんど使わない月でも料金が発生するかどうか（基本料金の有無）が、節約効果に直結します。

ファミリー・大容量世帯に最適な従量料金割引プラン

夫婦二人以上、特に子供がいるファミリー世帯、あるいはオール電化ではないためお風呂や調理でガスを頻繁に利用する世帯など、月間のガス使用量が多い（目安：30m³〜50m³以上）世帯は、従量料金（ガスの単価）の割引を最大限に活用すべきです。

従量料金が1m³あたり数円安くなるだけでも、使用量が多ければ多いほど、年間では数千円〜1万円以上の差となって現れます。

【戦略】従量料金の単価割引とセット割の複合割引を狙う

最適なプランは、ガス単体で従量料金の割引率が高いプラン、または電気とセットにすることで従量料金の割引率がさらに高まるプランです。大手ガス会社系のセット割も、大容量世帯向けに優遇されていることが多いです。

重視すべきポイント	具体的なプラン/会社例（東京ガスエリア）
従量料金の割引率	CDエナジーダイレクト（ベーシックガスなど、使用量が多いほど割引率が高まる） ニチガス（プレミアムプランなど、大口需要家向けのプラン）
ガス・電気セット割引（大容量向け）	東京ガス（ガス・電気セット割。特に「特定用途プラン」も確認） 関電ガス・中部電力ミライズ（それぞれのエリアで大口需要家向けセット割）

📌 大容量世帯の重要チェックポイント
料金体系には「30m³以上で割引率がアップ」といった段階的な割引構造があります。あなたの平均使用量がどの段階の料金単価に適用されるのかを詳細にシミュレーションし、割引率が最も高い会社を選びましょう。

特にガスの使用が多い「床暖房・エネファーム」利用者向けのプラン比較

一般的な給湯・調理だけでなく、ガス温水床暖房や家庭用燃料電池（エネファーム）、またはガス温水浴室暖房乾燥機などの特定のガス機器を利用している世帯は、通常よりも格段にガスの使用量が多くなります。これらの世帯は、専用機器利用者向けの「特定用途プラン」を契約することで、一般のプランでは得られない大幅な割引が適用されます。

【戦略】特定用途プランの割引とガス機器の保証を最優先する

特定用途プランは、従来の旧一般ガス会社（東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど）が強力な割引率で提供しているケースが多いです。新規参入のガス会社は、これらの専門プランに対抗できるほどの割引を提供できていない場合が多いため、旧一般ガス事業者の特定プランを選ぶことが最適解となることが多いです。

機器/用途	対応プラン/特徴（東京ガス・大阪ガスエリア）
床暖房	東京ガス：「暖だんプラン」：通常の一般料金に比べ、冬場（12月〜4月）の割引率が非常に高い。 大阪ガス：「床暖料金」：季節や使用量に応じた複雑な割引体系だが、トータルで大きな節約が可能。
エネファーム	東京ガス：「エネファーム料金」 大阪ガス：「エコジョーズ料金」：エネファームや高効率給湯器利用者向けの専用プラン。割引に加えて、機器の延長保証サービスをセットにしている会社もある。

🚨 特定用途プランの落とし穴：セット割との比較
注意点として、特定用途プランの割引率が非常に高いため、たとえ電気とガスをセットにしても、一般プランのセット割よりも特定用途プラン単体の方が安くなるケースが多々あります。必ず、特定用途プランの料金と、セット割の合計額を比較シミュレーションしてください。

世帯人数・利用状況別：最適なガス会社プラン選びのフローチャート

どのプランが最適か迷った場合は、以下のフローチャートに従ってご自身の状況を確認してください。

1. 【Step 1】：自宅に床暖房やエネファームなどの特定ガス機器があるか？
   • → YES：地域の旧一般ガス会社（東京/大阪/東邦ガス）の特定用途プラン（床暖/エネファーム料金）を最優先で比較する。
   • → NO：Step 2へ進む。
2. 【Step 2】：ガスの月間使用量はどうか？（検針票で確認）
   • → 少なめ（15m³未満）：基本料金0円や大幅割引のプラン（例：エルピオ都市ガスなど）を比較する。
   • → 多め（30m³以上）：従量料金の割引率が高いプラン（例：CDエナジーダイレクトなど）を比較する。
3. 【Step 3】：電気も一緒に切り替えるか？
   • → YES：電気とガスのセット割が最も有利な会社（例：関電ガス、中部電力ミライズなど）を選び、トータルコストを比較する。
   • → NO：ガス単体で最も割引率が高い会社を選ぶ。

🔥 電気・ガスセット割の徹底検証！本当にトータルコストは安くなるのか？

都市ガス自由化がもたらした最大のトレンドの一つが、電気とガスのセット契約（セット割）です。多くのガス会社が新電力事業に参入し、また逆に多くの新電力会社がガス小売事業に参入したことで、「まとめて契約すれば安くなる」という複合割引プランが主流となりました。しかし、このセット割は本当にあなたのトータルコストを安くする「最高の選択肢」なのでしょうか？

このセクションでは、セット割の真のメリットと、隠されたデメリット、そしてセット割なしで個別に契約した方がお得になるケースを徹底的に検証します。

大手ガス会社系（東京ガス、大阪ガスなど）の電気・ガスセット割のメリット

電気・ガスセット割を提供しているのは、新電力・新ガスだけではありません。むしろ、旧一般ガス事業者である東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなども、新規参入組に対抗するために非常に強力なセット割引プランを提供しています。これらの大手ガス会社系のセット割には、価格メリット以外にも多くの利点があります。

1. 割引率の安定性と信頼性

大手ガス会社系は、電気とガスという二大インフラ事業のノウハウと資本基盤を持つため、新規参入組に比べて料金プランの安定性が高い傾向にあります。特に、新ガス会社が撤廃しがちな「原料費調整額の上限」を残しているプランがある場合、燃料価格が急騰した際の料金上昇リスクを低く抑えることができます。

2. 請求の一本化と手続きの簡略化

電気とガスの料金が1つの請求書にまとまるため、家計管理が非常に楽になります。また、新規契約時の申し込みも一度で済み、カスタマーサポートへの問い合わせ窓口も一本化されるため、ユーザーの手間が大幅に削減されます。

3. 地域密着型の充実した付帯サービス

大手ガス会社は、ガス機器のメンテナンスや修理、緊急時の駆けつけサービスなど、地域に根差した付帯サービスが充実しています。セット契約をすることで、これらのサービスが優遇されたり、延長保証が付帯されたりするメリットがあります。特にガス機器の安全や長期利用を重視する世帯にとっては大きな安心材料です。

大手ガス会社系のセット割メリット	内容と具体例
料金割引以外の付加価値	ポイント還元（例: Tポイント、Pontaポイントなど連携） 機器保証・修理サービス（例: 東京ガスの住まいのサポート）
供給安定性と透明性	倒産リスクの低さ 燃料費調整額の上限設定（一部プランで継続）

セット割による具体的な年間割引額と料金シミュレーション例

セット割の割引率は、通常「電気料金から一定額/率を割引」または「ガス料金から一定額/率を割引」、あるいは「電気とガスの合計額から〇%割引」という形で適用されます。最も割引効果が高いのは、電気・ガスの両方の使用量が多いファミリー世帯です。

シミュレーションケース：東京ガスエリア・ファミリー世帯（4人）

以下は、東京ガスエリアで平均的なファミリー世帯が、旧一般料金からセット割プランに切り替えた場合の年間節約額の概算シミュレーションです。（※割引額は変動します）

項目	年間平均使用量（目安）	セット割による割引額（年間）
電気	4,800kWh/年（400kWh/月）	約 6,000円〜12,000円
ガス	480m³ /年（40m³ /月）	約 5,000円〜10,000円
セット割引（加算）	ー	約 3,000円〜5,000円
年間合計節約額	ー	約 14,000円〜27,000円

💡 シミュレーションの結論
電気とガスの割引に加え、セット割引が加算されることで、セット割プランは年間で約1.5万円〜2.5万円程度の節約効果を生み出すケースが多いです。ただし、この割引額は主に電気・ガス単体の割引効果の合計であり、セット割自体による上乗せ効果は3,000円〜5,000円程度であることが一般的です。

セット割より個別契約が有利になる「特定のケース」

一方で、セット割よりも電気とガスを最も安い会社で個別に契約した方がお得になるケースも存在します。それは主に以下の2パターンです。

1. ガスの使用量が極端に少ない/多い世帯：例えば、一人暮らしでガスは月5m³しか使わない場合、基本料金が0円のガス会社（例：エルピオ都市ガス）と、電気の使用量が最も安い電力会社を個別に選んだ方が、トータルの支払い額が安くなる可能性があります。
2. 特定の用途プラン（床暖房など）の割引率が圧倒的に高い場合：前セクションでも触れた通り、床暖房やエネファーム利用者向けの特定用途プランは、セット割の割引率を上回る場合があります。この場合、ガスは特定用途プランを、電気は別の最安の電力会社を選ぶのが最適です。

セット契約のデメリット：解約時の違約金と料金上昇リスク

セット割は魅力的ですが、メリットだけではありません。特に注意すべきなのは、セット契約特有の「二重の縛り」と「料金上昇リスク」です。

デメリット1：解約時の違約金・二重の契約期間の縛り

セット割を適用するプランの多くは、契約期間を1年または2年と定めており、期間内の解約に対して違約金（解約金）が発生する場合があります。最も厄介なのは、電気とガスがセットになっているため、どちらか一方を解約しようとしても、セット契約全体が解約となり、両方の違約金を請求されるリスクがあることです。

• 【対策】：契約書や約款で、「電気のみ、またはガスのみの解約が可能か」「その際のセット割引の適用はどうなるか」「解約金はいくらかかるか」を事前に確認してください。特に引っ越しの可能性がある方は、違約金が発生しないプランを選ぶべきです。

デメリット2：原料費調整額の上限撤廃による料金上昇リスク

多くの新電力・新ガス会社は、自由化プランにおいて原料費調整額の上限を撤廃しています。セット割を提供している会社も例外ではありません。国際的な燃料価格が高騰すると、上限のある旧一般料金と比較して、セット割を適用してもトータルコストが逆転し、料金が高くなるリスクがあります。

• 【対策】：契約を検討している会社のプランが「燃料費調整額の上限を設定しているか否か」を徹底的に確認しましょう。上限がない場合、割引率だけでなく、「価格の安定性」をどう考えるか、リスク許容度に応じて判断が必要です。

デメリット3：サービスの提供会社が異なることによる混乱

セット割の中には、ガスの小売はA社、電気の小売はB社（A社の提携先）と、実質的なサービス提供会社が分かれているケースがあります。請求は一本化されても、万が一のトラブルや問い合わせ時に窓口が別々であったり、責任の所在が曖昧になったりするリスクがあります。

• 【対策】：契約前に、「問い合わせ窓口の一貫性」「緊急時の連絡先」が明確に統一されているかを確認しましょう。大手ガス会社や大手電力会社系のセット割であれば、この問題はクリアされていることが多いです。

✅ 電気・ガスセット割を選ぶ際の最終チェックリスト

1. セット割引後のトータル年間コストが、個別契約の最安値よりも安くなるか？
2. プランに契約期間の縛りや、高額な解約違約金は設定されていないか？
3. 原料費調整額の上限が設定されているか？（設定されていない場合、料金上昇リスクを理解しているか？）

⛽️ 知らないと損する！プロパンガス（LPガス）と都市ガスの料金構造と安さの比較

ここまで、都市ガス自由化による料金削減策を解説してきましたが、日本国内では約半数の世帯が都市ガスを利用できていません。それらの世帯が利用しているのが、プロパンガス（LPガス）です。プロパンガスは、料金体系が都市ガスとは根本的に異なり、都市ガス自由化の波も及ばない「ブラックボックス」として、利用者に大きな負担を強いている現実があります。

このセクションでは、都市ガスとプロパンガスの決定的な違い、プロパンガスが高額になる理由、そしてプロパンガス利用者が料金を安くするための、唯一にして最も効果的な具体的なアクションを網羅的に解説します。

都市ガスとプロパンガス（LPガス）の料金構造の決定的な違い

都市ガスとプロパンガスは、どちらもガス燃料ですが、その主成分、供給方法、そして最も重要な料金設定の自由度が全く異なります。

項目	都市ガス（天然ガス）	プロパンガス（LPガス）
主成分	メタン（CH₄）を主成分とする天然ガス	プロパン・ブタン（C₃H₈, C₄H₁₀）を主成分とする液化石油ガス
供給方法	地下のガス管（導管）を通じて供給	ガスボンベ（容器）を各家庭に配送・設置して供給
料金設定	自由化の対象。料金競争あり（ただし導管エリア限定）	完全に自由料金。会社によって、地域によって料金がバラバラ
発熱量	約46MJ/m³（11,000kcal/m³）	約100MJ/m³（24,000kcal/m³）。都市ガスの約2.2倍

料金体系の根本的な違い：規制と競争の有無

都市ガスは、導管という独占的なインフラを持つため、料金競争を促すための「小売全面自由化」が行われ、新会社が参入して価格競争が起きています。一方、プロパンガスは、ボンベ配送という形態から、昔から「完全な自由料金」です。この自由料金制こそが、プロパンガスが高い理由の核心です。

プロパンガス会社は、国から料金の上限などを規制されないため、エリア内の競争原理が働きにくく、会社側のコスト（設備の貸与費用など）を消費者に転嫁しやすい構造になっています。

プロパンガスが高い理由と、賃貸・持ち家別のガス代削減策

「プロパンガスは都市ガスより高い」というのは、多くの利用者が抱える不満です。料金相場を比較すると、同じ熱量あたりの料金でプロパンガスは都市ガスよりも1.5倍〜2.0倍程度高くなることが一般的です。その構造的な理由は以下の通りです。

プロパンガスが高額になる構造的な理由

1. 配送コストが高い：プロパンガスはボンベをトラックで各戸へ配送・交換する必要があり、この人件費や物流コストが料金に上乗せされます。導管を通じて自動的に送られる都市ガスにはないコストです。
2. 設備投資費用（無償貸与）の回収：多くのプロパンガス会社は、給湯器、ガスコンロ、配管などのガス設備を無償で提供（または非常に安価で提供）し、その初期費用を月々のガス料金に上乗せして回収しています。この設備費が「従量料金」の中に隠れており、料金の透明性を低くしています。
3. 地域内競争が限定的：都市ガスエリアと異なり、プロパンガス会社は小規模な地域で独占的な供給を行うケースが多く、競争原理が働きにくいため、高めの料金設定が維持されやすいのです。

賃貸 vs. 持ち家：ガス代削減策の決定的な違い

プロパンガス料金の削減策は、その家に住む契約者がガスの設備を「所有」しているかどうか、つまり賃貸か持ち家かで大きく異なります。

区分	ガス会社変更の可否	最も効果的な削減策
賃貸住宅	原則不可（オーナー権限）	① オーナーへの交渉依頼 ② エリア内で料金が適正な賃貸物件への引っ越し
持ち家・戸建て	可能（契約者権限）	① 他社への乗り換え（最重要） ② 現在のガス会社への料金交渉

🚨 賃貸の方は特に注意！
賃貸住宅の場合、プロパンガスの契約は物件のオーナーや管理会社が行っています。入居者が勝手に会社を変更することはできません。ガス代が高すぎると感じたら、まずはオーナー（管理会社）に相談し、料金適正化の交渉を依頼するしかありません。

プロパンガス料金を見直すための具体的な会社変更ステップ

持ち家にお住まいのプロパンガス利用者にとって、ガス代を安くするための最も効果的な手段は「ガス会社の変更」です。自由料金であるプロパンガスでは、会社を変更するだけで従量料金の単価が劇的に下がり、年間数万円〜10万円以上の節約になるケースも珍しくありません。具体的なステップと注意点を解説します。

Step 1: 現在の料金と契約状況の確認（最重要）

まずは、現在の状況を正確に把握します。これが交渉や乗り換えの基礎データとなります。

• 検針票の確認：基本料金、従量料金の単価（1m³あたり）、そして月間使用量を把握します。
• 契約内容の確認：給湯器などのガス設備が、現在のガス会社からの無償貸与（リース）物件かどうかを確認します。無償貸与の場合、乗り換え時に残債の清算が必要になることがあります。（新しい会社が肩代わりしてくれるケースが多いですが、確認は必要です）

Step 2: 乗り換え先の選定（適正価格会社を探す）

プロパンガス会社を選ぶ際は、単に「安い」だけでなく、「不透明な値上げをしないか」という信頼性も重要です。料金を適正化してくれる専門の乗り換えサポートサービス（プロパンガス料金適正化協会など）を利用すると、信頼できる会社を効率的に見つけられます。

• 料金の比較：基本料金と従量料金単価の両方が、地域の適正価格内にあるかを確認します。
• 料金保証の有無：乗り換え後、不当な値上げをしないことを保証する「適正価格保証」を付けている会社を選ぶと安心です。
• 乗り換え費用の肩代わり：新しいガス会社が、現在の会社との解約金や設備残債を負担してくれる「乗り換えキャンペーン」を利用すると、初期費用ゼロで切り替えが可能です。

Step 3: 乗り換え手続きと開栓作業

都市ガスと異なり、プロパンガスの切り替えはすべて新しいガス会社が代行してくれます。

1. 新しいガス会社に申し込み（検針票情報を提供）。
2. 新しいガス会社が、現在のガス会社に解約を通知し、切り替え日程を調整。
3. 切り替え当日、現在のガス会社がボンベとメーターを撤去し、新しいガス会社が新しいボンベとメーターを設置・開栓。

💡 専門の「乗り換えサポート」活用を推奨
プロパンガスの切り替えは、現会社との交渉や残債清算など、複雑な要素が絡みます。複数の会社から見積もりを取り、最も安く、かつ適正な料金保証を付けてくれる会社を見つけるためには、プロの仲介業者（料金適正化協会など）に相談するのが最短かつ最も確実な方法です。

📝 ガス会社切り替え手続きの完全ガイド：費用・期間・必要なもの

最適なガス会社を見つけ、いざ切り替えを検討する際、最も気になるのが「手続きの面倒さ」や「本当に工事が必要なのか」という点でしょう。しかし、結論から言えば、都市ガスの切り替え手続きは非常に簡単で、基本的に工事や立会いは不要です。

このセクションでは、ガス会社の切り替えに関するすべての疑問を解消するため、具体的な手続きの流れ、費用、必要な情報、そして賃貸住宅での特別な注意点までを網羅的に解説します。この記事を読めば、もう他の手続き解説記事を読む必要はありません。

ガス会社切り替えのステップ：申し込みから開栓までの流れ

都市ガス会社の切り替え手続きは、旧一般ガス事業者（現在の契約会社）との解約を含めて、すべて新しいガス会社が一括で代行してくれます。利用者が行う作業は、実質的に「新しい会社への申し込み」だけです。全体の流れは以下の通りです。

STEP	手続き内容	所要期間と重要ポイント
1	新規ガス会社への申し込み	所要時間：約10分。Webサイトまたは電話で行います。申し込み時に「検針票」が必要。
2	契約会社間の情報連携	利用者による作業は不要。新ガス会社が旧ガス会社へ解約通知と連携を行います。
3	切り替え日の確定・通知	申し込みから約2週間〜1ヶ月程度で切り替え日が通知されます。
4	スマートメーターへの交換（必要な場合）	原則、立ち会いは不要。ガスの供給が一時的に止まることもありません。作業は旧一般ガス事業者が行います。
5	新ガス会社との契約開始	切り替え日以降は、自動的に新しいガス会社の料金プランが適用されます。

申し込み時に必要な「3つの情報」

切り替え申し込みの際、手元に現在のガス会社の「検針票」を用意しておくとスムーズです。最低限、以下の3つの情報が必要になります。

1. 供給地点特定番号（20桁の番号）：ガスの供給場所を特定するための固有の番号。検針票に記載されています。
2. 現在の契約者名義と連絡先：旧ガス会社に通知する際に必要です。
3. 支払いに利用する情報：クレジットカード情報、または口座振替情報。

🔑 最も重要なポイントは「ガスが途切れることはない」
都市ガスの切り替えは、ガスの導管（パイプライン）が同じであるため、切り替え作業中にガスが途切れることは絶対にありません。電気と異なり、メーター交換時もガスの利用を継続できますので、安心して切り替え手続きを行ってください。

切り替え時に発生する費用（初期費用・手数料）の有無と注意点

ガス会社の切り替えは、原則として初期費用・手数料は無料です。これは、自由化を推進するために国が定めたルールに基づいています。ただし、例外的に費用が発生するケースや、注意すべき「隠れた費用」が存在します。

切り替え費用が「無料」であることの裏付け

• 工事費：ガスの導管工事や開栓工事は発生しません。スマートメーターへの交換工事も、原則として旧一般ガス事業者の負担（つまり、利用者負担なし）で行われます。
• 事務手数料：新規契約手数料、解約手数料などの名目で費用を請求する会社はほとんどありません。

例外的に費用が発生する可能性がある3つのケース

基本的に無料ですが、以下の3点については事前に確認が必要です。

1. 旧ガス会社との「契約期間の縛り」による解約金：以前の契約プランによっては、契約期間内に解約した場合に違約金（数千円〜1万円程度）が発生することがあります。特に、旧ガス会社の特定用途プラン（床暖房など）は違約金があるか事前に確認してください。
2. 新たな供給設備設置を伴う場合（プロパンガスからの移行など）：これは都市ガス会社間の切り替えではなく、プロパンガス（LPガス）から都市ガスへ変更する場合に、新たに導管を引く工事費用が発生します。費用は数十万円になることがあり、切り替えとは別次元の費用です。
3. 新規ガス会社側が設定する契約解除料：稀に、新規契約したガス会社が定める「縛り期間」内に再度別の会社に切り替える場合、新ガス会社から解約金が請求されることがあります。

発生し得る費用	確認すべき事項
旧契約の違約金	現在のガス会社の契約書や検針票裏面の規約を確認する。
新契約の縛りによる解約金	切り替え先のガス会社の重要事項説明書で「最低利用期間」の有無を確認する。

賃貸マンション・アパートでのガス会社切り替え可否と手続き方法

賃貸住宅に住んでいる場合、「勝手にガス会社を切り替えても大丈夫か？」という疑問を持つ方は多いでしょう。都市ガスの切り替えは「原則として可能」ですが、賃貸特有の注意点があります。

都市ガスは「原則切り替え可能」だが、プロパンガスは不可

あなたが住んでいるマンションやアパートが都市ガスを利用している場合、基本的に入居者自身（契約者）の判断でガス会社を自由に切り替えることが可能です。これは、都市ガス自由化の対象であり、切り替えによって物件自体の設備や供給方法が変わるわけではないためです。

一方で、プロパンガス（LPガス）を利用している場合は、切り替えは非常に困難、または不可能です。プロパンガスの場合、ガス会社と建物のオーナー・管理会社との間で「無償貸与契約（ガス設備を無償で貸与する契約）」が結ばれていることが多く、入居者の一存でガス会社を変更することはできません。

賃貸で切り替える際の3つの注意点（都市ガスの場合）

1. 管理会社・大家への事前連絡は「必須ではないが推奨」：法的には報告義務はありませんが、トラブルを避けるために、特に検針票の確認やメーター交換の通知が来た際に備え、「ガス会社を変更する」旨を事前に連絡しておくと安心です。
2. 検針票の確認：申し込みの際に、現在のガス会社名と供給地点特定番号が必要になります。賃貸の場合、検針票が郵便受けに投函されないこともあるため、玄関の外にあるガスメーターの蓋裏や管理会社に問い合わせて情報を入手する必要があります。
3. 退去時の対応：契約期間の縛りがあるプランに切り替えた場合、退去時に解約金が発生しないかを事前に確認し、もし発生する場合は、契約期間が満了するタイミングに合わせて退去することが望ましいです。

🚨 賃貸マンションのガス種類を必ず確認！
お住まいの集合住宅が都市ガスかプロパンガスかを確認することが最初のステップです。物件情報やガスメーターに記載の「LPガス」の表記の有無などで判断できます。プロパンガスであれば、切り替えではなく「料金交渉」が主な節約手段となります。

このように、都市ガス会社の切り替えは、電気の切り替えと同様にシンプルで、検針票さえあれば10分で完了します。手続きの簡単さからも、まだ切り替えていない方は、すぐにでも最適な会社を探し始めることを強くおすすめします。

📉 ガス代を安くするために契約以外でできること：節約術と利用設備の見直し

前のセクションまでで、ガス会社の契約プランを見直すことが最も効果的なガス代削減策であることを解説しました。しかし、契約プランを変更した後も、日々のガスの使い方や利用しているガス機器の効率を見直すことで、年間で数千円〜1万円以上の追加節約が可能です。

このセクションでは、今日から実践できる具体的な節約テクニックから、ガス給湯器などの設備を効率的に使いこなす方法、さらにはガスの使用量を「見える化」して無駄をなくす最新のサービス活用法まで、読者が他の節約術記事を探す必要がなくなるほど網羅的に解説します。

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今日からできる！給湯器とコンロの具体的な節約術

家庭でガスを最も多く消費するのは、全体の約7割を占める給湯器（お風呂・シャワー）です。次にガスコンロ（調理）が続きます。この二大消費源の利用方法を見直すことが、最も即効性のある節約に繋がります。

1. 給湯器の節約術：温度設定と使い方を徹底見直し

給湯器の温度設定は、ガス消費量に直結する最も重要な要素です。設定温度をたった1℃下げるだけでも、年間で数%のガス代削減効果が見込めます。

節約アクション	具体的な削減テクニックと数値目安
設定温度の適正化	給湯器本体の温度設定を下げる：夏場は38〜40℃、冬場は40〜42℃を上限とする。 食器洗いなど、手洗いでの利用時は35℃程度で十分なことが多い。設定温度を下げた後、蛇口側で水と混ぜる「水栓の調整」を減らすことがポイント。
シャワーの使い方	こまめに止める：髪や体を洗っている間は必ず止水する。節水シャワーヘッドに交換することで、水量を30〜50%削減でき、結果的に沸かすガスの量も減るため、最も費用対効果が高い節約策の一つ。 浴槽の残り湯を先に使う：シャワーの前に浴槽の湯で体を流してから浴びる。
浴槽の利用法	追い焚き回数を減らす：追い焚きは浴槽全体を再加熱するためガス消費量が多い。家族が続けて入浴し、お湯が冷めないうちに済ませる。フタや保温シートを徹底利用する。 足し湯より高温差し湯（可能な機種で）：機種によっては、足し湯よりも高温の湯を少量差し込む方が効率が良い場合がある。

2. ガスコンロの節約術：加熱効率の最大化

ガスコンロも使い方次第で無駄なガスを多く消費します。炎を効率よく熱に変換することが鍵です。

• 炎は鍋底からはみ出させない：炎が鍋底からはみ出している部分は、無駄に空気を温めているだけです。炎の先端が鍋底に当たるか当たらないか程度の「弱火〜中火」で調理しましょう。
• 落とし蓋・フタを積極的に使う：鍋にフタをすることで、熱が逃げるのを防ぎ、沸騰までの時間や煮込み時間を大幅に短縮できます。調理時間を短縮することは、そのままガス代の節約につながります。
• 予熱・電子レンジの活用：煮込み料理の前の加熱や、根菜類などの下ごしらえに、電子レンジを活用して調理時間を短縮する。
• 麺類は火を止めて余熱調理：パスタや素麺などは、沸騰後2〜3分加熱したら火を止め、フタをして指定時間放置する「余熱調理」が可能です。この方法で約20%程度のガス消費を抑えられます。

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ガス設備（エコジョーズなど）の効率的な使い方とメンテナンス

高効率なガス機器を導入している場合でも、その特性を理解して使わなければ、節約効果を最大限に引き出すことはできません。また、機器の適切なメンテナンスは、効率の低下を防ぎ、長寿命化にも繋がります。

1. 高効率給湯器「エコジョーズ」の特性を活かす

エコジョーズ（潜熱回収型給湯器）は、従来の給湯器では捨てていた排気熱を再利用し、熱効率を約80%から約95%まで向上させた給湯器です。これにより、ガス消費量を約15%削減できます。

• 給湯温度を上げすぎない：エコジョーズの熱効率は高いですが、水温と設定温度の差が大きいほど、より多くのガスを消費します。設定温度を必要以上に高くしないことが重要です。
• 長期間の「ちょろちょろ出し」を避ける：エコジョーズは着火・運転に最低限必要な水量が決まっています。少量のお湯を長時間「ちょろちょろ」出し続けると、機器がオン・オフを繰り返し、効率が悪くなります。食器のすすぎなどは、一時的に水を出し、止めるを繰り返す方が効率的です。

2. 定期的なメンテナンスと清掃で効率を維持する

給湯器やコンロは、使い続けるうちに汚れや詰まりが生じ、熱効率が低下します。定期的なメンテナンスは節約に必須です。

• コンロのバーナーキャップ清掃：バーナーの炎が出る穴（目詰まり）を、定期的に針金や歯ブラシなどで掃除してください。目詰まりは不完全燃焼の原因となり、ガスの無駄遣いを引き起こします。
• 給湯器のエラーコード確認：給湯器のリモコンに異常なエラーコードが表示されていないか日常的にチェックします。燃焼効率が低下している可能性があります。
• 浴槽内の循環フィルター清掃：追い焚きや自動保温に必要な浴槽内の循環口（フィルター）に髪の毛やゴミが詰まると、追い焚きに必要なエネルギーが増加します。週に一度は清掃しましょう。

🚨 給湯器の寿命と交換の判断
一般的なガス給湯器の寿命は約10〜15年です。15年以上使用している場合は、修理費用が高額になる、または効率が著しく悪い可能性があります。最新のエコジョーズなどに交換することで、ランニングコストが大幅に削減され、初期投資を数年で回収できるケースも多いです。

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ガスの使用量を「見える化」するサービスの活用とメリット

電気と同様に、ガスの使用量もリアルタイムで把握し、「見える化」することで、無意識の無駄遣いを減らすことができます。この「見える化」を可能にするのが、次世代のガス設備や、各社が提供するオンラインサービスです。

1. スマートメーター導入による「30分ごと」の使用量把握

多くの旧一般ガス事業者や新ガス会社が、従来の機械式ガスメーターから「スマートメーター」への交換を進めています（交換費用は原則無料）。スマートメーターの最大のメリットは、30分ごとのガスの使用量を自動で計測・送信し、利用者がオンラインで確認できる点です。

• 時間帯別の消費特定：どの時間帯（朝のシャワー、夕食の準備など）にどれだけのガスを使っているかを正確に把握できます。例えば、「朝の支度時間が長引くと、ガス代が〇円上がる」といった具体的な行動の検証が可能です。
• 無駄の特定と対策：ガスを全く使っていない時間帯に微細な使用量があれば、ガス機器の待機電力的な消費（リモコンの保温機能など）や、ごく稀なケースとして微量のガス漏れがないかといったチェックにも役立ちます。

2. ガス会社提供の「利用状況分析サービス」を活用する

スマートメーターで取得したデータを元に、各ガス会社は専用のWebサイトやアプリで詳細な利用状況分析サービスを提供しています。これは単なる数値の表示にとどまりません。

サービス機能	節約へのメリット
グラフ化・対比機能	前年同月や他世帯平均との比較：自分の節約努力がどの程度成果を出しているか、相対的に判断できます。
料金予測・アラート	当月の料金目安をリアルタイムで表示：使いすぎそうになった際にアラートが来るため、月の途中で利用ペースを調整できます。
節約アドバイス	使用状況に基づいたパーソナライズされた節約提案：最もガスを使っている機器や時間帯を特定し、効果的な節約方法を提示してくれます。

これらの日々の節約努力とガス設備の効率的な利用、そして「見える化」サービスを組み合わせることで、最も安いガス会社への切り替え効果をさらにブーストさせることができます。固定費を削減し、変動費もコントロールする、この「二刀流」が最も賢いガス代削減戦略です。

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よくある質問（FAQ）

※ここから次のセクション（H2）の本文が始まります。

💡 よくある質問（FAQ）

Q. 都市ガスとプロパンガスどっちが安い？

一般的に、都市ガスの方がプロパンガス（LPガス）よりも安価です。

都市ガスは地下のガス管を通じて大量に供給され、料金設定が自由化されたことで競争原理が働いています。一方、プロパンガスは配送コスト（ボンベの運搬・交換）がかかるため、都市ガスより料金が高くなる傾向にあります。

ただし、都市ガスは発熱量がLPガスの約半分であるため、単純な価格比較だけでなく、熱量あたりのコストで比較する必要があります。料金単価だけを見ても、プロパンガスは都市ガスの1.5倍～2倍程度になることが一般的です。

Q. 新電力に切り替えても停電は増えませんか？

電気の切り替えによって停電が増えることは一切ありません。

2016年の電力小売全面自由化、そして2017年の都市ガス小売全面自由化以降も、電気の送配電網（送電線）やガスの導管（ガス管）の維持・管理は、これまで通り地域の旧一般電気事業者（電力会社）や旧一般ガス事業者（ガス会社）が引き続き行っています。

新電力・新ガス会社は、これらの既存のインフラを借りて電気やガスを販売（小売）しているだけです。そのため、どの会社に切り替えたとしても、電気・ガスの品質や供給の安定性は変わることはありません。万が一の停電やガス漏れ、災害時も、これまでと同じ地域の事業者が対応するためご安心ください。

Q. 電力会社を切り替える際の費用はかかりますか？

原則として、切り替え時の初期費用はかかりません。

新規契約時の工事費用や事務手数料はほとんどの会社で無料です。ただし、以下の点には注意が必要です。

• 現在の契約の解約金：以前の電力会社との契約に「契約期間の縛り」が残っている場合、数千円〜1万円程度の解約金（違約金）が発生する可能性があります。契約前に検針票などで解約条件を確認しましょう。
• 電気・ガスセット割の解約金：もし現在、電気とガスをセットで契約している場合、どちらか一方を解約しようとしてもセット契約全体が解約となり、両方の違約金を請求されるリスクがあります。

Q. 電気代を安くするためには、何を見直せば良いですか？

電気代を安くするためには、大きく分けて**「料金プラン」と「使用方法」**の2つを見直す必要があります。

1. 料金プランの見直し（固定費の削減）

最も効果的なのは電力会社の切り替えです。

• 基本料金の確認：一人暮らしや使用量が少ない世帯は、基本料金が安い、または0円のプラン（基本料金割引）を選ぶことで固定費を削減できます。
• 従量料金の確認：ファミリーや使用量が多い世帯は、使用量に応じた単価（従量料金）の割引率が高いプランを選びましょう。
• 電気・ガスセット割の活用：ガスも都市ガスエリアで利用しているなら、電気とガスをまとめて契約し、セット割引を最大限に活用することでトータルコストを削減できます。

2. 電気の使用方法の見直し（変動費の削減）

料金プランだけでなく、日々の節電行動も重要です。

• 待機電力の削減：使っていない電化製品のコンセントを抜く。
• 古い家電の買い替え：特に消費電力の大きいエアコンや冷蔵庫を最新の省エネモデルに買い替える。